脂質は人間が生きていくうえで必要な、五大栄養素のひとつです。
質のいい油をとることで、健康的な体づくりや美肌をつくる効果が期待できます。
ですが良質な油を選ぶために知っておきたいのは、脂質の種類です。
脂質は大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。
さらに不飽和脂肪酸には、体内で作ることができない「必須脂肪酸」が存在します。
健康のためにも、良質な油を選んでみてくださいね。
「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」とは?
![「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の違い](https://vicky333.com/wp-content/uploads/2022/10/4-1024x538.jpg)
まずは「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の違いをみてみましょう。
飽和脂肪酸とは
バターやラード、肉類などの動物性の脂に多く含まれています。
飽和脂肪酸を摂りすぎると、悪玉コレステロールが血中に溜まり、動脈硬化の原因をつくります。
不飽和脂肪酸とは
魚や植物の油に多く含まれています。
血圧を下げたり悪玉コレステロールの減少など、健康的な体をつくるのに嬉しい効果が期待できます。
ただし不飽和脂肪酸にも種類があり、摂りすぎてもよくない油もあります。
また体内で作ることができない「必須脂肪酸」についてもご紹介します。
体に必要な不飽和脂肪酸とは?
![体に必要な不飽和脂肪酸](https://vicky333.com/wp-content/uploads/2022/10/2-1024x538.jpg)
不飽和脂肪酸は食べ物から摂取することで得られる「オメガ3」「オメガ6」の油と、体内でもつくられる「オメガ9」があります。
オメガ3
・必須脂肪酸
・現代人がもっとも不足している油
・イワシなどの青魚に多く含まれる
オメガ3は熱に弱いため、非加熱のまま摂取するのがおすすめです。
オメガ3にはEPAやDHA、αリノレン酸が含まれています。
期待できる効果は下記の通りです。
・記憶力を高める
・認知症の予防
・血中の中性脂肪を減らす
・血圧を下げる
・動脈硬化を予防する
・心臓病の予防
・炎症の緩和、抑制
さらにオメガ3は、細胞膜をやわらかくする効果もあります。
脳にある細胞は、約60%が油で構成されています。
そのため細胞膜がやわらかいと、動脈硬化の予防や血圧を下げる効果が期待できるのです。
特に子どもは毎日脳の成長を続けています。
そのためお子さんのためにも良質な油を摂って、脳の性能が高くなるようにするといいでしょう。
ちなみに質の悪い油と精製された白砂糖の組み合わせは、お子さんの成長を妨げます。
白砂糖を消化するために、ビタミンB群が使われます。
ビタミンB郡は脳のはたらきには欠かせない栄養素です。
つまり白砂糖を摂取してしまうと、脳のはたらきが悪くなってしまうのです。
たとえばチョコレートやクッキーなど、手軽に食べられるお菓子には注意しましょう。
オメガ6
・必須脂肪酸
・現代人が摂りすぎている油
・紅花油やコーン油、大豆油などに多く含まれる
・細胞膜をやわらかくする
オメガ6にはリノール酸が含まれているため、コレステロールが血管に沈着してしまうのを防ぎます。
オメガ3とオメガ6のバランスは1:4が理想的ですが、現代では1:10〜20と、オメガ6が摂りすぎの傾向にあります。
たとえば外食チェーン店で使われている油や、加工食品の油の大半がオメガ6です。
オメガ6を摂りすぎてしまうと、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性炎症疾患を引き起こす場合があります。
さらに動脈硬化や心臓の病気などを誘発する可能性があるため、摂りすぎには注意したい油です。
オメガ9
・体内でもつくられる
・熱に対して強い
・オリーブオイルやキャノーラ油などに含まれる
オメガ9に含まれるオレイン酸は、悪玉コレステロール値を下げて、善玉コレステロール値を維持する働きをします。
人の皮脂にも含まれる油なので、摂ることで乾燥肌や肌荒れの予防にもつながります。
またオメガ9は、抗酸化作用や腸内環境を整える効果も期待できる油です。
できるだけ避けたい油とは?
![できるだけ避けたい油「トランス酸」](https://vicky333.com/wp-content/uploads/2022/10/3-1024x538.jpg)
できるだけ避けたい油は「トランス脂肪酸」です。
トランス脂肪酸は飽和脂肪酸の一種で、自然界には存在しない分子構造をしています。
代表的なものとして、マーガリンやショートニングが挙げられます。
マーガリンは食べるプラスチックと言われているほど、自然とはかけ離れているものです。
不飽和脂肪酸に水素を添加し、固形になるよう化学変化させてできています。
植物性の油を原料としていますが、体にとってあまりよくない油です。
トランス脂肪酸が体に悪い理由
・体内で分解するのが難しい
・活性酸素を発生させる
・悪玉コレステロールの増加
・善玉コレステロールの減少
トランス脂肪酸を体内で分解・代謝するときに、大量のビタミンとミネラルが消費されてしまいます。
さらに体内で炎症を引き起こしたり、皮脂の過剰発生が起こります。
すると美容に影響して、肌荒れや肌の老化の原因につながります。
また狭心症や心筋梗塞などの、冠動脈性心疾患リスクを高める恐れも報告されています。
欧米ではすでに規制が始まっていますが、日本では特に規制はありません。
そのためトランス脂肪酸をできるだけ避けるためにも、ファストフードや外食チェーン店を控えたり、加工油脂と書かれているものは選ばないなど、少しでもできることをやってみてください。
オススメの良質な油
![オススメの良質な油](https://vicky333.com/wp-content/uploads/2022/10/1-1024x538.jpg)
オメガ3とオメガ6の理想的なバランスは1:4です。
しかし現代人の摂取量は1:10〜20と、オメガ6が摂りすぎの傾向にあります。
そこで、良質な油と呼ばれている油をご紹介します。
もし、オイルが摂れない場合は、チアシードを1日大さじ2を摂ってみてください。
チアシードは良質なオイルに匹敵します。
グラノーラにかけたりサラダにトッピングするなど、活用法はさまざまです。
積極的に質のいい油を摂取して、バランスのいい食生活を心がけてみてくださいね。
亜麻仁油
フラックスシードというスーパーフードを聞いたことはありますか。
フラックスシードとは亜麻仁のことで、油にする前の種の状態のものです。
シリアルにかけたり粉類と混ぜて使ったりします。
この亜麻仁には、αリノレン酸が豊富に含まれています。
熱に弱いため加熱するのではなく、ドレッシングとして使ったり、お味噌汁にかけるだけでもコクが出ておいしく摂取できますよ。
酸化しやすいので、遮光性のあるビンタイプの亜麻仁油を選ぶのがおすすめです。
エゴマ油
シソ科のえごまからつくられています。
エゴマ油もαリノレン酸が豊富で、血液をサラサラにしたり脳の活性化にも効果的です。
大さじ1杯15キロカロリーと、油にしては低カロリーのため、毎日摂りやすいですね。
エゴマ油もサラダにかけたり、味噌汁だけでなくスムージーに入れたりなど、使い勝手もいいです。
100gに含まれるオメガ3の含有量
亜麻仁油56.6g
エゴマ油58.3g
大豆油6.1g
サラダ油6.8g
グレープシードオイル
グレープシードオイルは、ブドウの種を低温圧搾法で抽出した油です。
特にポリフェノールが豊富で、オリーブオイルの2倍あるといわれています。
抗酸化作用があり、生活習慣病の予防や老化を防止します。
さらに悪玉コレステロールを減らすオレイン酸も含まれていることから、良質な油とされています。
味にクセがなくどんな料理にも使いやすいですが、オメガ6の油なので摂りすぎには注意が必要です。
ココナッツオイル
ココナッツの実から油だけを抽出してできています。
ビタミンEが豊富で抗酸化作用があります。
また中性脂肪になりにくく、油なのにダイエットにも効果的といわれています。
さらに便秘改善や、腸内環境を整える効果をもたらします。
固形で売られていることが多いですが、溶けやすいため料理用の油としても使えます。
ココナッツの香りが特徴なため、米粉と合わせたスイーツをつくるのにも向いています。
エクストラバージンオリーブオイル
オメガ9であるエクストラバージンオリーブオイルは、加熱処理がされていない、冷圧法でつくられています。
そのため酸化しにくく、栄養素もしっかり残されています。
オレイン酸やリノール酸が多く含まれており、悪玉コレステロールの減少が期待できます。
またビタミンAやビタミンEも豊富なことから、美容にも欠かせません。
とはいえ大さじ1杯あたり111キロカロリーもあるため、摂りすぎには注意してください。
良質な油で健康的な体づくりをしよう
![良質な油で健康的な体づくりを](https://vicky333.com/wp-content/uploads/2022/10/5-1024x538.jpg)
世の中にはさまざまな種類の油が存在します。
安価なものは手に入れやすいですが、体に影響を与える可能性があります。
何ごともバランスが大切なので、油においても体にいいものを選んでみてください。
人間の脳組織は約60%が油でできています。
不足しがちなオメガ3や良質な油を、食生活の中で積極的に摂ることで、腸内環境やコレステロールのバランスを整えていきましょう。
良質な油を選ぶことで、健康的な食生活に変わりますよ。
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